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翁達磨(蕎麦行脚) 2006年1月19日
分類:そば 日本橋高島屋 8回催し会場

 今日は午後から静岡に出張です。
 出張前に1時間ほど無理繰り時間を作って蕎麦を食べに行きます。

 Ryo@MさんのBBSに”せば太夫”さんが、「日本橋タカシマヤに広島達磨の高橋邦弘氏が出店する」と言う情報のカキコミを見ての企みです。

 インターネットのそば関係のカキコミのあちらこちらで、「高橋邦弘氏の蕎麦は素晴らしい」とか書かれていますし、また、昨年秋にはNHK教育テレビの趣味の番組で蕎麦打ちを扱ったときの講師はこの高橋氏でした。
 
 そのため、以前から食べてみたいと思っていたのですが、店舗を広島の山奥に構えているので、「ちょっとツーリングで行ってきまーす」と言うわけにはいかない立地条件でしたので、今まで願いはかないませんでした。

 今回、せっかく向こうから出向いてくると言うチャンスを見逃すわけにはいきません。
 
 東京駅から歩くこと、約10分、日本橋タカシマヤに到着しました。

 日本橋タカシマヤの建物は高橋貞太郎の設計により、大林組が1933年に竣工した歴史を感じる重厚な建物です。

 話を戻して、今回は『第4回 雑誌「ミセス」が選ぶかくれた味うまい味』の催し物としての出店だそうです。

 タカシマヤの店内に入り、クラシカルなエレベータに乗り8階の催し会場にきました。

 催し会場の一角に、店舗を発見!

 時間はすでに2時近くですが店の前には7、8人が並んで待っていました。
 と言っても、蕎麦屋ですから、長っ尻は無いので、すぐに順番は廻ってくるでしょう。
 待つことにします。

 
 写真の撮影は他のお客さんの失礼になるので写しませんでしたが、仮設店舗の作りは意外に小さくカウンターのみで12人程度が座れる広さでした。

 蕎麦の打ち場とは別に厨房では5人の男性と2人の女性が蕎麦を茹でたり、盛りつけたり、ザルや食器を洗っていました。
 また、店内には給仕係として2人、お勘定処に1人という構成で、その他に打ち場に2人いますので、客の数と同じくらい店員がいることになります。

 お品書き

 「もりそば」のみの735円、お一人様3枚までです。

 どう頑張っても、長っ尻は出来ません。

 しかし、今回の出店企画は 『第4回 雑誌「ミセス」が選ぶかくれた味うまい味』と言うことですが、どう考えても、”もりそば”しかないお店を「ミセス」が選ぶとは考え難いです。
 どちらかと言うと「雑誌ミセスの編集者が趣味で選んだお店」という表現が正しいような気がするのは自分だけでしょうか。

 その後、5分ほど待って、店内に入ることが出来ました。

 注文したのは”もりそば”(もりそばしかありません!-_-;

 2枚にしようか、3枚にしようか悩んだのですが、3枚で¥2,205−。
 平日の昼飯には高すぎます。2枚にしました。
 (お冷やかお茶は出して欲しいものです)
 
 しばらくして、もりそばが出てきました。

 意外にも量は普通です。
 普段都内の蕎麦屋さんの少ない量を見慣れているからでしょうか。

 麺体のアップ。

 見事に角が立ち、やや細めに一定の太さできれいに切られています。

 見事です。素晴らしい!

 流石です。

 蕎麦つゆです。
 
 流行の(一般の)蕎麦屋さんの”つゆ”よりは濃いめですが、薮蕎麦ほどではありません。
 濃いめと言うより「しっかりしている」と言う表現の方が良いかもしれません。
 「濃いかな〜?」と思う直前ぐらいの塩梅です。
 しかも、ちょっと甘め?これも同様に「甘いかな〜?」と言う直前くらいの味付けです。

 だしも、カツオが良く効いていますが、決して邪魔はしません。

 すべてが、出しゃばる直前のぎりぎりのところで、ちゃんと自己主張をしています。

 ピンポイント的な味の落としどころです。絶妙。
 
 
 薬味です。

 自分は薬味は、まず使うことはないので、わかりません。

 薬味のネギ。

 薄〜く刻んであります。良い仕事をしていますねぇ。
 (当たり前ですね。日本一と言われる蕎麦屋さんの一つですから・・・)

 
 あまり放っておいて、時間が経つと蕎麦の味が落ちる(変わる)ので、さっそくいただきます。
 
 あれぇ?

 すみません。普通です??? 当然、とても美味いのですが。

 手打ちそばでは日本一とまで言われた蕎麦ですが、期待が大きすぎたのでしょうか。
 「おおおっ」と驚く様なところはなく、あくまでも普通です。
 
 ”普通”と言う表現をすると語弊があるかもしれません。
 蕎麦の香りもちゃんとしますし、食感、歯ごたえ、味のどれを取っても素晴らしいです。
 がしかし、どれも突出しておらず、超優等生の蕎麦です。
 まさに、これぞスタンダードと言った感じです。
 故に特徴的なところがなく、自分としてはインパクトに欠けているように思いました。
 (贅沢なリクエストですね ^^;

 追)今回、蕎麦を打つ水は広島から持ち込んだそうですが、茹でるお湯や蕎麦を洗う水などは東京の水道水だと思います。これがすべて、広島の水だったらと思うと・・・どれくらい美味い蕎麦が出てくるのでしょうか。

 店の横のブースでは、蕎麦打ちを実演していました。

 蕎麦をこねているのは、高橋邦彦氏ではなく、お弟子さん(?)でした。
 
 おそらく、2kgくらいをの玉をこねていると思いますが、その早いこと早いこと。

 あっと言うも間にこね上げてしまいます。

 高橋氏は不在と思いきや、しばらくして登場。


 高橋氏は蕎麦の延ばしと切りを担当していました。

 
 まあ、見事にきれいに、しかも素早く延ばすこと。

 あっという間に、延ばしが終わり、畳んでしまいました。


 この高橋氏、ネットで調べると61歳ですが、職業柄、腰が曲がったままです。
 1日中、この体勢で蕎麦を打っているので、腰が真っ直ぐにならないのでしょう。
 (恐るべし)

 切ります。

 これも、早い早い。
 しかも、結構無造作に扱っていますが、蕎麦が切れません。

 自分で打った蕎麦をあんな無造作に扱ったら、蕎麦が空中分解してしまいます。(笑)
 (自分と比較してはダメですが。(^^;)

 ん〜、素晴らしい。

 ご馳走様でした。

 たいへん美味しゅうございました。

 おまけ

 自分で打った蕎麦包丁の刃先の写真ですが、ある程度蕎麦を切ると、刃先に蕎麦が付着しました。
 今まで、これは蕎麦に入れる水の量が多すぎるために、べたついて、刃にくっつくと思っていました。(多加水だと思っていました)

 今回、高橋氏のそば切りを見ていたら、同じように刃先に着いた蕎麦を爪で刮げ(こそげ)落としていました。 (500gくらい切る度に刮げ落としていました)

 今まで、自分では刃に蕎麦が付着するのは多加水と思っていたのは、間違いだったようです。
 勉強になりました。