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本がえしを仕込む
2005年10月17日

 蕎麦つゆは”だし”と”かえし”を混合して作ります。
 ”だし”はかつお節や昆布などを煮出して取った汁で、”かえし”は醤油に味醂、砂糖などを加えて一定期間寝かしたものです。

 自宅で蕎麦つゆを作ろうと思った場合は”かえし”も作ることになります。

 かえしは火を通す(暖めて作る)”本がえし”と火を通さない生がえしがあります。
 普通のお蕎麦屋さんは本がえしを使っている様です。(蕎麦屋の裏側は知りません(笑))
 自分もかえしは”本がえし”を作って使っています。

 今回は”本がえし”の作り方を書きます。
 かえしの材料は下記の通り、至って簡単です。

 @ 醤油
 A 砂糖
 B 味醂(みりん)

 蕎麦つゆも味の濃いめ、薄め、甘め、辛め、鰹だしの利いたもの、昆布だしの利いたものと、作る人のめざした味という物があります。それに合わせて、かえしに使う材料の配合(分量)も変わってきます。

 以下は当然、自分の好みの混合比で作るものです。

 自分の好みは、味は濃いめで、甘さを控えたものです。また、鰹だし、昆布だしともあまり出しゃばらない程度に抑えたいと思っています。
 
この様な味をめざすのは理由があります。
 味を濃いめにするのは、つゆに蕎麦をたっぷり漬けたくないからです。
 味の薄いつゆだと、ついついたっぷりつゆを付けたくなります。
 そうすると、そばの香が蕎麦つゆに隠れてしまうと思うからです。

 甘さを控えめにするのは、自分で蕎麦を打つ人に共通すると思いますが、外食を含めて週に2、3回蕎麦を食べます。
 そのため、甘めのつゆだと飽きてしまいます。

 だしも出来るだけ控えめにしているのは、だしが強いと、蕎麦の香りや味を楽しんでいるのか、蕎麦つゆや出汁を楽しんでいるのかわからなくなってしまうからです。

 そんな自分のめざした蕎麦つゆが、先日食べた神田の薮蕎麦の蕎麦つゆと近いものであったので、嬉しくおもいました。(実際、洗練度、味の深み、複雑さは比べるまでもなく薮蕎麦の方が上ですが)

 薮蕎麦のつゆ、蕎麦の先にちょこっと付ければ、十分なように辛くしてある。とどこかで見たことがあります。

 能書きが長くなりましたが、まずは味醂です。

 他のページでも書いていますが、基本的に材料はどこでも入手しやすい物で作るようにしています。

 どこのスーパーでも購入可能な”タカラ 本みりん”

 味醂も突き詰めていけば、味の違いはあるとは思いますが、特に不満もないので、これを使っています。
 (と言うより、蕎麦つゆだけで、味醂1本使い切るのは相当大変です)
 この味醂50gを鍋に取り、火にかけます。

 よく?世間一般に見かける割合は、醤油一斗に対して、味醂一升→10:1ですが、50ccを正確に計るのが面倒なので、重さで50gで作っています。

 本やインターネットでは、味醂を先に火をかける方法と、醤油を先に火をかけ、後から味醂を加える方法の2種類があります。
 自分は味醂を先に火をかける”方法でやっています。

 2つの方法を比べたことはありませんし、自分には味の差はたぶんわからないと思います。

 味醂を先に火をかける方法では、味醂が煮たってアルコールが蒸発し、鍋に火が入ります。
 これが、何となく料理をしているぞ。と言う気分にさせてくれるので、こちらの方法でいつも作っています。

 醤油です。

 ”キッコーマン 特選丸大豆しょうゆ”これは、全国どこでも、ではなく、全世界どこでも手に入るといっても良いでしょう(笑)

 ヒゲタしょうゆでは、蕎麦つゆ向けの商品に力を入れており、充実していますが、スーパーなどに置いていないところもあり、キッコーマンにしています。

 以前ヒゲタしょうゆを使ったことがあり、よくある蕎麦屋さんの風味に近い味が出た記憶があります。
 
 味醂が煮立ったら、蒸発して分量が減らない様、すぐに醤油500ccを加え、さらに加熱し続けます。
 

 砂糖です。普通は白砂糖を使用します。

 今回は白砂糖を切らしていて、三温糖があったので、これを使います。

 蕎麦つゆにはクセのない砂糖を使うのが普通だそうですが、今回は本当にそうなのか、確認の意味も含めて三温糖です。

 砂糖の分量は60gです。

 ヒゲタしょうゆのホームページには、醤油一斗(18L)に対して、砂糖1貫(3.75kg)と書いてあります。
 これを、醤油500ccに換算すると、1/36×3.75kg=104gになります。
 この辺りを標準とすると、自分の作るかえしは砂糖が半分強しか入っていませんので、相当甘みが少ないと思います。

 最初、砂糖は80g位から作り始め、甘すぎるので、徐々に減らしていきました。
 阿東50gも作ってみましたが、それではほとんど甘みが感じられず、ダメでした。

 砂糖は味醂+醤油を火にかけて、温まってきた時点で投入します。
 (同じように、ヒゲタ醤油のHPでは、60℃で投入と書いてあります)

 そのまま、加熱し続け、鍋の周りに泡が立ってきたら、火を止めます。決して沸騰させてはいけません。
 (沸騰させると醤油の香りが飛んでしまいます。ヒゲタ醤油のHPでは85℃と書いてありました)

 火を止めたら、すぐに保存容器に移します。

 自分は愛知の友人からもらった、沖縄のお酒、「泡盛の瓶」に保存しています。

 ガラス容器ですと、80℃のかえしを入れたときに割れることも考えられるので、焼き物の方が良いと思います。
 
 自分としては、瓶にしみ込んだ泡盛が混ざって、旨くなっていると思っています。
 
 移し終わったら、キッチンペーパーで蓋をして、輪ゴムで止めます。

 熱いので、通気性を持たせるためと、逆にホコリや虫などが入らないようにするためです。

 このまま、1週間ほど常温で保存(放置)して、本がえしは完成です。

 本がえし自身、保存性がありますので、自分は保存期間は気にしていませんが、保存状態がよほど悪くない限り、3ヶ月程度は持つと思います。

 自分の場合、この本がえしは大体蕎麦つゆ3回分です。
 (蕎麦つゆを作るページを参照してください)
 長くても1.5ヶ月くらいで使い切ります。