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09年04月11-12日 桜前線を求めて (青根温泉に泊まる)

16:56 温泉地へ

 大河原で桜の花見をした後、車を走らせること小一時間。
 今晩の宿を予約している、蔵王十一湯訪と言うのがあるらしいが、その一つ青根温泉に到着しました。


 最初に書いておこう。
 この宿、良いですよ。

17:03 宿へ

 今夜の宿は青根温泉集落のほぼ中央に位置する”岡崎旅館”。
 ネットで予約しました。

 青根温泉は、正確な数は分かりませんが、おそらく普通の住居を含めても40〜50軒ほどが集まる小さな温泉地です。

 岡崎旅館は新館と本館があり選択が出来ますが、今回はあえて写真にある本館に泊まることにしました。

 本館は昭和の初期に建てられた古い日本様式で、2階は回廊となっている風情のある建物です。
 
17:05 部屋へ

 受付は新館にあり、新館の玄関に行くと奥から女将さんらしき人が出てきて、やや無愛想に『いらっしゃいませ』
 最初、ちょっと『むむっ』ときましたが、この無愛想な感じはちょっと前までの東北人の気質でした。
 必要以上に構わない、気を使わない気質です。

 最近はどこの宿に行っても、マニュアル的に必要以上に愛想が良く、満面の笑みで迎えてくれる宿が多いですが、気を使われすぎて逆にこちらが気を使ってしまう様な居心地の悪さを感じる時もあります。

 そう言った意味で、放って置いてくれるのも、一つの贅沢であると思うこのごろです。

 部屋は1階で8畳+2畳+なんて言うの、写真の窓側のところ。まあ、必要にして十分な広さです。

 まずは温泉に浸かりたいので、夕食は6時半からお願いしました。
17:14 温泉へ

 この岡崎旅館は本館と新館の両方に浴室があります。
 
 まずは荷物を片付けて、どちらの温泉に行こうかと、本館の温泉を探索。

 建物も古いですが、当然温泉も古い、昔の造りです。
17:14 温泉は

 温泉は加水なしの源泉掛け流し。

 タイル張りの湯船や壁面が昭和レトロを感じさせます。

 こちらは、造りが古く、シャワーの設備はなく、あるのはカランのみ。


17:41 新館へ

 こちらは、新館の温泉。
 こちらも、加水なしの源泉掛け流し。

 ガラス張りの浴室は外の景色を眺めながら温泉にゆっくりと浸かることができます。

 本館の温泉も風情があって良いのですが、結局、こっちの温泉に入ります。シャワーもあるしね。

 何も言わないと夕食の時間は6時からなので、他のお客さんはおらず、一人貸し切り状態です。

 この青根温泉のお湯はイイ!
 やや熱めですが、お湯が柔らかく、包まれている感じがします。

 お湯の良さは、自分の経験の中でトップクラスですね。
18:03 夕涼み

 温泉から上がり、新館から本館に戻りつつ、外で夕涼み。

 この建物の枯れた感じがいいんです。

 はっきり言って、小綺麗じゃなく、くたびれたところもありますが、ちゃんと手入れをしています。
 手をかけた感があり、大事に使っていることがわかります。
18:13 部屋に戻り

 夕涼みももしたので、部屋に戻ります。

 部屋には囲炉裏があり、暖と合わせて、お湯が沸いているので、お茶が好きな人にはたまりませんね。

 『えっ、私。私はお茶よりビールです』
18:45 夕食です

 6時半を過ぎて夕食に行きます。
 夕食は食事処で。

 最初に書いておこう。
 食事もイイです。

 食事は懐石料理で順番に出てきます。
 まずは、八寸。

 ・花山葵の浸し
 ・穴子の桜寿司
 ・のびる酢味噌掛け
 ・牛タンの柔らか煮
 ・田芹の白和え
 ・姫皮の実山椒のせ

 地で捕れる山菜を要所要所に使っており、美味しいです。
18:46 椀代

 続いて、お椀の代わりとして、”椀代”

 岩魚葛打ち 蕪みぞれ鍋
 わらび 片栗の葉 豆腐
 
 普段お目にかからない食材が、遠方まで旅行にきた気分を盛り上げてくれます。

※ 申し訳ないのですが、写真写りが悪いです。
 部屋の照明が裸電球で照度を落としてあり、他のお客さんもいるので、フラッシュも失礼になるので、写真がちょっと暗めです。
 
18:49 向付

 続いて”向付”。

 ”岩魚のへぎ造り あまどころ 片栗の花 ”
 蕗の薹(ふきのとう)醤油


 同じ食材を違う料理で食べさせる工夫。

 ここで、書いておきますが、この岡崎旅館の宿泊費、税込み¥10,500+入湯税の¥150と温泉旅館としては廉価な部類です。

 そこで、高い食材や、色々な食材を使うことは難しく、板長が限られた範囲で工夫をして料理を作っているのがわかります。
 でも、それは決して貧相ではなく、工夫しているのが分かる楽しいものです。
 また、味付けは薄味ですが、出汁がしっかりしており、とっても立派なもんです。
18:49 先付

 続いて、先付。

 独活(うど)とうるいのもずく和え。

 手前じゃありません。
 写真向こう側。
 手前はただの漬け物。

 山菜いいね。
 年取るとどうしてこういったもんが美味く感じるんだろうね。
 若いころは、腹の足しにもならない、こういった食べ物は、好きじゃありませんでした。
18:53 焼物

 続いて焼き物

 鮑としどけのバターグリル

 小降りながらアワビ。
 頑張ってます。

 あえて刺身で出さないところが○。
18:58 お酒へ

 瓶のビールが空いたので、日本酒へ。

 チョイスは”乾坤一”、『いぬいしんいち?』
 勉強不足でございます。
 「けんこんいち」と読みます。

 クセが無く、やや辛口。
 料理の邪魔をしないお酒ですね。
19:04 炊合

 まだ、料理は続きます。

 次は炊合。
 煮物ですね。

 筍 若布 蛤 根三つ葉 木の芽


 旬の筍が旨い。
 まさに草冠に旬で筍。
19:05 蒸物

 次が蒸し物。

 蛍烏賊のとろろ蒸し こごみ 山葵

 とろろの蒸し物の中に、蛍烏賊が隠れています。
 その塩味が、とろろにマッチしておいしい。
19:21 強肴

 料理の最後は強肴。(”しいざかな”と読むそうな)

 和牛のフォアグラ巻き。

 一口サイズ。
 一杯食べたい。
19:21 水菓子

 デザートはグレープフルーツのゼリー。

 ここでも、フルーツのままそのまま出さずに一工夫。

 ここにもアクセントで、ミントの葉が。

 他の料理もそうですが、ちょっとしたアクセントが載っています。
 これが、意外に出来そうで出来ない。
19:30 食事

 写真を取り忘れて、デザートと前後しちゃいました。
 (時間なんて適当に書けば良いじゃん。と言う意見が聞こえそうですが、それはそれ)

 食事は蕗(ふき)としらすのご飯。

 これに、漬物と味噌汁が付きます。


 いやいや、参った。
 高い食材はほとんどありませんが、実に手がかかってます。
 大きな旅館じゃありませんから、厨房は大変だと予想できます。
 そして、いつも書いていますが、海も近くないのにガンバって刺身を出す。それでは、海辺の宿に負けます。
 原則、地産地消。
 そう言った点でも○。

 ご馳走様でした。
 美味しゅうござました。◎
 
19:39 食事処は

 一番最後に食事を始めたこともあって、終わるのも一番最後になりました。

 本館の食事処には、5組ほどの宿泊客が食事をしていました。

 食事処の部屋ですが、欄間(天井と鴨居の間)などの造りも手が込んでおり、柱も太く立派なものです。
 
19:40 回廊

 食事も終わりました。

 部屋に戻ります。

 1階の食事処のまわりにも回廊が、床は見事に磨き込まれています。
 こうゆう輝きは、使い込んで磨き込まないとでない光沢ですね。

 春の日に、こうゆう縁側で昼寝をしたら最高。


 温泉にも入りました。

 美味い食事もいただきました。
 お酒も入って良い気分。

 いやぁ。満足満足。

 で、お休みなさい。
 
7:38 朝起きて

 朝起きて、窓の外を見ると、今日も快晴です。

 青根温泉は蔵王連峰の東側に位置し、蔵王連峰を直接望むことはできません。
 そのためもあってか、他の蔵王周辺の温泉ほど集客が無いようで、どちらかと言えば鄙(ひな)びて感じられる温泉です。
 逆に、俗化されておらず、日頃の都会の喧噪から逃亡してくるには最高の場所だと思います。
8:17 朝食

 朝食は8時から。
 昨晩夕食を食べた食事処で。

 朝食は和食ですが、ここでもちょっとひとひねり。

 定番の納豆、海苔はありません。

 ただ、昨晩は味付けゴハンだったので気になりませんでしたが、朝食は白米だったので気になったのが、ご飯がちょっと美味しくなかったのが残念でした。

 お米の味は値段に比例するので難しいところですが、味付けご飯の夕食はそのままでいいとして、白米の朝食だけでも、もうちょっと頑張って欲しいなぁ。この白米で全体の印象がかなり損すると思います。

 白米が美味しかったのは、新米の季節でもあったのですが、高湯温泉の「ひげの家」で、その印象は今でも残っています。
10:03 チェックアウト

 チェックアウトの時間になりました。

 荷物をまとめて、チェックアウトしに新館に行きます。

 本館入口の床も、使い込まれ、磨き込まれています。

 この本館は以前は湯治場として使っていたと思われる炊事場跡などが残っていました。

 本館の方は造りが古いこともあり、トイレは共同です。
 共同ですが、清掃は行き届いています。

 必ずしも、すべてがそろっている旅館ではありませんが、必要にして十分。
 人間、座って半畳、寝て一畳。
 不便を感じるのも、旅の一つの楽しみでもあります。
 
10:08 出発します

 チェックアウトをして、女将さんと二言三言会話を交わします。
 温泉が良かったこと。
 料理が手が込んでいて、美味しかったこと。
 
 誉め言葉で、女将さんは笑顔に。
 無愛想ではなく、ちゃんと本当の笑顔もある。

 
 今度はツーリングで訪れてみよう。と思う宿でした。

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